転職先を探すときには、人それぞれ「掲げる条件」があります。
掲げる条件には給与や待遇の他、勤務地や転職活動期間も含まれます。
今回は「掲げる条件」をタイプ別に分け、賢い雇用形態の選び方について解説します。
昇給昇格を条件に掲げるタイプなら「正社員」
キャリアアップを目的とした転職をするタイプならば、やはり正社員で転職するほうがいいでしょう。
採用担当者も正社員で採用する人は、将来的に責任者や管理職への道に進むということを仮定して選考を行います。
そのため、正社員採用の面接にもかかわらず「責任ある立場に疲れたため転職することにしました」といったことを話す人は、採用は難しいでしょう。
どちらかといえば、待遇面の質問よりも「中途採用でも昇格の道はありますか」など、上にのぼりつめたい意欲を感じさせる質問の方が印象がよくなります。
一昔前は、正社員を志望する人の多くが「正社員は安定しているから」「定年退職まで働くことができるから」と志望理由を口にしていました。
しかし、現在は正社員採用されたからといって、定年退職まで働けることが保障されるわけではありません。
正社員に安定を求める時代は終わったと考えたほうがいいでしょう。
また、正社員はその他の雇用形態で採用された人と比べて「会社都合」で動かされる機会が多いかもしれません。
例えば、転勤や異動についても正社員に声がかかることがほとんどです。
正社員の転職が向いているタイプは、会社組織の中で自分を高めたい人や会社都合で動くことに抵抗を感じない人でしょう。
短い転職活動期間が条件なら「契約社員」
契約社員とは、必ずしも任期が決まっている社員ではありません。
1年契約や3年契約のように、数年おきに契約書を交わしながら、長期にわたって働き続けることもあります。
ただし、契約書の期限が到来するたびに、更新するかしないかを会社側も考えることができるため、人によっては更新時期になると「更新してもらえるか心配」になるという人もいます。
時給ではなく月給、有給休暇も社会保険もあり、会社によっては正社員と同等の福利厚生もあるため、最近は契約社員で転職する人も増えています。
正社員と契約社員を比較すると、契約社員の方が入社手続きも簡単に終わるような印象を受けますが、実際の入社手続きは正社員と変わりないくらいでしょう。
入社する際には保証人が2名必要であり、最終学歴の卒業証明書を求められることもあります。
「契約社員採用だから」といって臨んでしまうと、意外と転職期間が長引いてしまうかもしれません。
また、正社員と契約社員との大きな違いは「退職金と賞与」でしょう。
正社員は「会社都合で動かされる機会が多い」と言いましたが、その分退職金や賞与が支給されます。
一方、契約社員は正社員ほど会社都合で動く機会はありませんが、賞与はゼロか少ない額、退職金はゼロであることがほとんどです。
転職活動をするときには「転職活動期間が短くなる」や「正社員と待遇もほとんど変わらない」とメリットの方が大きく見えがちですが、生涯で受け取る金額を考えてみると、正社員との差は大きいのではないでしょうか。
仕事の優先順位が2位以下なら「フルタイムパート」
パートときくと、主婦が子育ての合間に働いているイメージがありますが、フルタイムのパートとなると、職場でも「なくてはならない存在」ではないでしょうか。
フルタイムのパートであっても、パート採用は時給制です。
休んだ分が収入に直結してしまう点が、正社員や契約社員との大きな差でしょう。
ただ、パート採用された人の仕事の内容は「休んだとしてもフォローできる人がいる」内容である傾向があります。
働きたいけれど、仕事第一に考えることはできないタイプの人にとってはフルタイムのパートは適しているでしょう。
以前は「パート勤務は国民年金」が常識でした。
配偶者がいる人は、不要の範囲で働き配偶者の厚生年金に入っている人もいますが、シングルの人や扶養の範囲外になった人は、国民年金になることが一般的でした。
しかし、法改正により扶養の範囲が狭められ、パート勤務であっても一定の条件をクリアしている人は、厚生年金に加入できる人が増えたのです。
以前は「厚生年金に加入したいから正社員になりたい」という志望動機もありましたが、パート採用でも厚生年金加入の間口が広がったことで、厚生年金を希望するタイプもフルタイムパートを転職先の候補に入れることができるのではないでしょうか。
雇用形態別・転職先の選び方まとめ
転職に掲げる条件があると、つい求人票の中から自分の条件に合う会社を探してしまいます。
しかし「雇用形態」というしがらみを除くだけで、一気に条件をクリアできることもあるのです。