20代女性の中には、秘書という仕事がとても華やかに思え、あこがれる人も多いのではないでしょうか。
「秘書」という言葉は知っているけれど、具体的な仕事内容や適性についてはあまり知られていません。
今回は「秘書に転職したい」と思ったとき、知っておくといい情報、知りたい情報を詰め込みました。
秘書の具体的な仕事とは
私は、役員秘書として働いていました。役員の年齢は60歳半ばの男性で、海外勤務が長い人でした。
秘書の仕事は「秘書を担当する役員もしくは社長」によって大きな差があります。
私は役員担当秘書でしたが、海外とのやり取りが多い役員だったため、英語での電話や文書のやり取りがとても多かったのです。
一方、社長付の秘書は英語ができなかったため、ほとんどの業務はスケジュール管理でした。
社長は、毎日分刻みでスケジュールが入ります。それらのスケジュールをパソコンで管理し、車の手配やチケットの手配を行います。
泊りがけの出張の場合は、手配したチケット控えをご家族に渡すこともします。そのため、社長のご家族やプライベートな情報も耳に入ることもあるのです。
人によっては、興味本位でプライベートな情報を聞き出そうとする人もいますが、業務に関係のないことは口外しないことも秘書の仕事です。
失礼がないように「それとなくかわす」ことも大切なスキルです。
秘書の仕事は、スケジュール管理のほかお茶を入れたり、客先に持っていく手土産を準備したり、ときには葬儀の受付をすることもあります。
秘書の仕事は、マニュアル化できない仕事がほとんどです。秘書の仕事とは、「担当した人の周辺すべてのこと」と言えるでしょう。
秘書の求人はどうやって集めるか
「秘書」として求人が出されることは少ないかもしれません。
秘書は、担当する人との相性が非常に大切です。そのため、全く別の部署で働いていた人が、異動で秘書になることがとても多いのです。
一番多い異動が、総務部でスタッフとして働いていた人が、役員の目に留まり秘書に選ばれるケースです。
秘書になると「経営企画部」に所属する会社が多いでしょう。経営企画部は、総務部や経理部と同じフロアにあり、社長室と隣接している傾向があります。
同じ理由で、総務部や経理部から経営企画部に異動となり、秘書になる人もいます。
秘書に転職するために必要なスキルとは
秘書になるためには、担当する役員の目に留まることが一番の近道です。
「目に留まる」とは、ただ仲良くなるだけではなく、その役員の業務の助けになるようなスキルを持っていることが必要です。
役員が「この人と一緒に仕事をすることができたら効率がアップする」と考えたら、異動のチャンスが訪れるでしょう。
私の場合は、英語が使えたことと旅行好きだったため、航空券と宿泊先の手配が効率よく行えたことがスキルでした。
旅行は、週末ごとに飛行機に乗り国内を旅していたため、ほとんどの国内空港周辺の様子、アクセス方法が頭に入っていました。
そのため、出張スケジュールと訪問先を教えてもらえれば、時間帯のよい航空券とアクセスのよい宿泊先をすぐに手配することができたのです。
秘書になるためには、何かとびぬけたスキルや特技を持っていると有利かもしれません。そして、特技を持っていることをそれとなくアピールしておくことも大切です。
秘書検定の資格はなくてもなれますが、秘書検定を勉強することでビジネスマナー全般を理解することができるので、取得して損はない資格です。
秘書検定を取得するのであれば、準1級もしくは1級を目指しましょう。
2級3級はオフィスワークを希望する女性の多くがもってるので、特別アピールポイントにはなりません。
意外とお金がかかる秘書という仕事
秘書になると意外と多い仕事が「葬儀の受付」です。
会社関係者やOBの葬儀には、受付として呼ばれることが多く、一度もあったことがない人の葬儀で受付をしたこともありました。
葬儀には、喪服とバッグなどの小物一式が必要です。それらの準備のために必要なお金は、すべて自己負担です。
秘書になると、式典や新年賀詞交換会に出席することもあり、意外と洋服代がかかりました。
何度も買い替える必要がないように、歳を重ねても着られるもの、長く使える高品質なものをそろえておくと安心です。
やりがい
秘書という仕事は外からみると明るく華やかな仕事ですが、実際は常に気配りと立ち振る舞いが見られている仕事であり、小さなミスが許されないこともあります。
大変な仕事ではありますが、マニュアル通りではなく、自分で判断し動くことで評価されるため、毎日にハリを感じることができました。
けして簡単な仕事ではありませんが、やりがいのある「秘書」を目指してみてはいかがでしょうか。
AI(人口知能)と秘書業務
そんな!?優秀なソフトが秘書業務を取り上げる!?
秘書に転職したい人が知っておきたいことがあります。
女性の転職で人気がある「秘書職」ですが、「今後は秘書職の採用が減るのではないか」と心配している人もいるようです。
秘書職は、正社員採用だけでなく、派遣社員や契約社員枠での採用も増えてきています。
最近は、雇用形態にこだわりが減ってきていることから「秘書職ができるならば雇用形態は問わない」という転職活動をする人もいます。
しかし、雇用形態にかかわらず「秘書職募集が減ってくる」となっては話が違います。
そこで、これから秘書職に転職したいと思っている人が知っておきたいことを4つにまとめてお話しします。
秘書は「スケジュール管理」だけが仕事ではない
「転職して秘書になりたい」と思う人は、いまだに多いようです。
最近の秘書職は、正社員での採用だけでなく、派遣社員や契約社員での採用も増えてきています。
一方で巷では「優秀なカレンダーソフトが開発によって、人間の秘書がいなくてもいい時代になってきた」という話もあるようです。
しかし、秘書の仕事は「スケジュール管理」だけが仕事ではありません。
たしかに、一昔前の秘書のイメージは、社長の横にくっついて歩き「次は会議の時間です」と言っている人かもしれません。
しかし、現代の秘書はスケジュール管理だけではなく、経営企画部での仕事も合わせて行っていることがほとんどなのです。
つまり、秘書と呼ばれながらも総合職の一員としてバリバリ働くイメージに塗り替わっています。
秘書も一人立ちして仕事をする時代
一昔前は、秘書は社長や会社のことをすべて把握するため正社員採用が常識でした。
しかし、秘書の業務自体に変化があらわれているため、採用枠も正社員だけでなく派遣社員や契約社員にまで広がっているのです。
秘書業務の変化は、著しいものがあります。
以前は、社長のスケジュール管理や会議の準備など「お手伝い業務」が多かったのですが、最近は「片腕業務」が増えています。
つまり、秘書も一社員として責任ある業務をこなせる必要が出てきたのです。
そのため、秘密を守れる正社員よりも、特定の能力に秀でた派遣社員や契約社員の方が会社によっては秘書に適していることもあります。
「秘書になりたい」と思って転職する人は、昔と今との秘書業務の違いを知らなければ、秘書として採用されることは難しいかもしれません。
自分が夢見ている秘書像と現実とのギャップを埋めることが、秘書への転職を上手に進めるコツなのです。
秘書に語学力と対応力は必須
これから先は、秘書に転職するならば、必須のスキルが2つあります。
まず語学力です。
最近は、英語だけでなく中国語のスキルも評価されています。
「通訳ができる」程度の語学力ではなく、時と場合に応じて自分で対処ができる判断力も併せ持っておく必要があります。
そして、対応力です。
与えられた仕事を忠実にこなせるソフトは、すでに開発されています。
現代の秘書に求められることは、ソフトや機械では対応できない臨機応変な対応力です。
例えば、聞かれたことに正直に答えるだけならば、ソフトの方が優れているでしょう。
しかし、秘書業務の中には「正直に答えない」ことが必要な時も多々あります。
その場の空気や人達を分析し、「正直に答えない」ことも秘書に求められる能力です。
「秘書に転職する」時代は終わった
「秘書になりたい」と言っている人は、時代が読めていない可能性があります。
どんなにソフトやロボットが進歩しても、秘書がいらない会社はないでしょう。しかし、秘書を秘書として採用する会社はなくなるかもしれません。
ソフトやロボットが進化すると、秘書だけでなく会社での業務の多くはソフトが代行できるようになる可能性はあります。
そんなとき、「秘書になりたい」と転職活動をしていても、なかなか転職先は見つからないのではないでしょうか。
秘書という仕事は、時代によって変わります。
現代の秘書は、「秘書もできるけど、他にもできることがある」という人が求められています。
秘書に就職・転職するなら
秘書に求められるスキルは昔よりも増え、ハードルも高くなっているかもしれません。
しかし、以前のように「秘書になるなら30歳までに転職」というような、年齢で転職が不利になるようなことも少なくなったのではないでしょうか。
焦らずじっくり求人を探しましょう。
最近の秘書は、年齢や見た目よりもスキルや中身で勝負できる人材が求めらているのです。