多くの会社では、9月に経営会議が行われ正式に人事異動や昇格が決まります。
10月からは新体制での下期がスタートするのです。
しかし、すべての人事異動が順調なスタートを切れるわけではありません。10月は、人事異動によるさまざまな要因で急に発生した求人が登場する時期です。
10月に発生した求人は、急を要することが多く採用担当者も必死に採用活動を行うため、短期間で採用までたどり着けることが多いのです。
今回は、採用担当者が必死になる「転職適齢月10月」についてお話しします。
10月に出る求人は「急を要する」
9月は人事異動の月です。
6月に株主総会が開かれる会社では、昇格人事についても株主総会で決まり、10月からは新体制でスタートします。
6月に人事の内定が出てからは、社内で計画的に引継ぎや採用活動が開始され、順調にいけば夏に転職面接を行い、中途採用者は10月から入社することが多いでしょう。
そのため、「転職活動は求人が増える9月が狙い目」と言われていきました。
しかし、求人が増える9月は転職者も急増する時期なのです。
求人が多くても、ライバルも増えてしまうため、結局応募倍率は高く、採用が決まるまでにはそれ相当の時間と面接回数が必要になります。
本当ならば、10月に入ると採用担当者は人事異動も転職者採用活動も終わり、来年度の新卒者採用に集中できる時期です。
しかし、実は10月は採用担当者にとって「突然の対応」が求められる「予想外の事態がおこる月」でもあります。
予想外の事態とは、人事異動後のトラブルです。
10月に入ると新しい体制がスタートしますが「異動先が合わずに辞めてしまう人」や「人事の配置がうまくいかず人手不足に陥る部署」が発生するのです。
10月にポッと新しい求人がしばしば登場することがあります。
それらの求人は、人事異動後に急に必要となって出された求人である可能性があるのです。
予想外の事態で出された求人は、とにかく急を要しています。
いつもならば3回の面接後に内定を出す会社であっても、急を要するときには1回の面接で内定を出してしまうこともあり得るのです。
スキルや経験に自信がない人ほど10月は転職適齢月
転職を有利に進めるためには、高度なスキルや経験は必須といわれています。
しかし、10月に突然出てくる求人の場合は「高度なスキルや経験」よりも「速い採用活動と入社」が求められることがあるのです。
10月の突然の求人は、前任者が退職するまでの期間が少ししか残されていないことが多く、引継ぎにあてられる時間も通常よりもうんと少なくなっている可能性があります。
そのため、スキルがやや足りなかったとしても、パワーで補える程度ならば問題にならないことがあるのです。
求人情報をみつけたとき、求められるスキルにやや実力が届いていないとしても、10月もしくは11月に出ている求人ならば、思い切って挑戦してみるといいでしょう。
転職面接のときには、足りていないスキルについても話しておく必要はあります。
しかし10月の採用担当者は「後から補える、もしくは勉強できるスキル」よりも、「きちんとした受け入れ態勢が整っていなくても気にせず順応できるパワーの持ち主」を求めていることが多いのです。
急な求人と採用であるため、採用後も「丁寧に引継ぎをできないかもしれない」ということを採用担当者は心配しています。
この心配を乗り越えてくれる転職者ならば、多少スキルに不足が合っても採用される可能性が10月にはあるのです。
10月は転職者が少なくなる理由
10月が転職適齢月といえる理由はもう一つあります。
それは、転職者が少ないということです。つまりライバルが少ないのです。
10月に転職活動をする場合、在職しながら転職活動をする人は12月もしくは年明けから入社する人が多いのではないでしょうか。
なぜならば、12月上旬まで在職していれば賞与を受け取ってから退職することができるからです。
10月や11月に新しい職場に入社しても、勤務期間が短いため賞与はゼロか少ない額になってしまいます。
12月の賞与を受け取るか受け取らないかで、転職活動を始められる時期に差が出てくるのです。
その点、10月に入社する人は前職場の賞与も受け取れず、新しい職場のボーナスもほとんど受け取ることができないでしょう。
ボーナス・賞与の点に注目すれば、10月に転職することは損する気持ちになります。
しかし、スキルや経験に自信がない人にとっては、ライバルが少ないことはお金にはかえられないメリットではないでしょうか。
最後に
転職を成功させるコツは、自分自身のスキル向上だけではありません。
求人数の量やライバルの数など、自分にとって転職活動しやすい時期を見極めることも重要なコツなのです。